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漆器のお手入れは難しくない!プロに聞いた、美しさを保つためのお手入れガイド

古来からたくさんの人に愛されてきた「漆器」。天然素材だからこその自然な光沢や経年変化が魅力な反面、「お手入れが難しいのでは?」というイメージを持っている方も少なくありません。

実は漆器のお手入れはとてもシンプル。少しの注意を払うだけで末永くお使いいただくことができます。
この記事では、漆器の魅力とともに、伝統工芸品に携わるプロのお話をお伺いしながら簡単なお手入れ方法を紹介いたします。

教えてくれたのは:堀江壮一さん(株式会社コッパワークアンドアート)

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

左から、m.m.d.代表・岡上、株式会社コッパワークアンドアート・堀江さん、原田さん

プロフィール:

伝統工芸品を取り扱う専門商社を経て、2023年株式会社コッパ ワークアンドアートを設立。
竹製品や木工製品を軸に、産地と協業し商品開発や販売支援、イベント企画など幅広い分野で活躍している。

コーポレートサイト | https://koppa.jp

漆ってどんな素材?

数千年前から使用されてきた歴史の深い原料である「漆」。漆は「ウルシノキ(漆の木)」から採取される樹液を加工して作られます。漆の木はウルシ科の植物で、日本、中国、東南アジアなどに自生しています。

採取された樹液は、酸素に触れることで硬化する特性を持ちます。
その特性を活かし、漆は、木、竹、布、紙、革などさまざまな素材を保護・装飾する目的で、中国や日本、韓国を中心に、アジアで親しまれてきました。
日本では縄文時代(紀元前5000年ごろ)から使用されてきたことがわかっています。

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

日本では古代から貴族や武士の間で重宝され、茶道具や家具、仏像、工芸品などに広く使われてきました。「蒔絵(まきえ)※1」や「螺鈿(らでん)※2」といった装飾技法が発展し、世界的に高い評価を受けています。

※1 蒔絵:漆器の表面に漆で模様を描き、乾かないうちに金や銀の粉を蒔いて定着させる装飾技法。
※2 螺鈿:貝殻(夜光貝、白蝶貝、黒蝶貝など)を薄く加工して、漆器や陶磁器などに接着や嵌め込みで装飾する技法。

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

漆の大きな特徴は、耐久性と抗菌性です。漆は強力な耐久性を持ち、湿気、熱、酸に対して優れた耐性を持っています。そのため、長期間にわたって美しさを保つことができます。

また、古来から防腐・防虫効果があると言い伝えられてきましたが、近年の研究で、実際に食中毒を引き起こす菌の増加を抑えることができるということもわかっています。

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

特徴のひとつとして欠かせないのは、天然素材ならではの「美しさ」。漆による独特な光沢と深い色合いは、ひとつとして同じものがない美しさを持っています。
美しさを保ちながら、経年変化を楽しめるところもポイントのひとつです。

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

また、「手触り・口当たりの良さ」も特徴です。漆塗がお箸やお椀など口をつけるものにしばしば使用されるのも口当たりの良さが理由のひとつです。

堀江さんが言う最大の特徴は、「長く使い続けることができること」だそう。

堀江さん:

「扱いにくそうなイメージを持たれる方も多くいらっしゃいますが、実はお手入れに手間をかけず、長く使うことができるのが漆の魅力です。さっと中性洗剤で洗うだけで、簡単に汚れを落とすことができます。手塗りで厚く塗られているから、少々傷がついてしまっても、クッションのように徐々に目立たなくなっていきますよ。」

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

元来、素材を保護する目的で使用されてきた漆。実は古くから耐久性を高く評価されてきた原料であることは、「お手入れが難しそう」というイメージを持たれている方にとっては意外なのではないでしょうか。

漆の苦手なものは、日光と極端な乾燥。この2点さえ気をつければ、末永くご使用いただけます。」と、堀江さん。実際にどのようなお手入れを行えばよいのか詳しくお伺いしました。

漆器のお手入れ方法

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

軽量で美しく、耐久性のある漆器は日常づかいにぴったりです。また、漆は天然素材であり、乾燥後も空気中の湿度を調整しながら「呼吸」をすると言われています。

そんな性質によって使用しているうちにだんだんと風合いを変える漆。
この過程は「漆器を育てる」と表現されることもあり、まるで生き物が成長するかのよう。自分らしく「育てる」ために、日常のお手入れで気にするべきことをお伺いしました。

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

堀江さん:

「使ったあとは、スポンジと洗剤で手洗いが基本です。洗剤は研磨剤の入っていない中性洗剤が好ましいです。」

中性洗剤とは?

洗剤は、液体の「酸性」や「アルカリ性」の強さを示す指標であるphによって使用用途を分けることができます。漆器を洗う際は、酸性でもアルカリ性でもない中性洗剤がおすすめです。

◯中性・・・もともと野菜を洗うために開発されたもので、洗浄力はマイルド。Ph6~8

◯弱酸性・・・ 手肌にやさしい。人の皮膚と同じPH。Ph3~6

◯弱アルカリ性・・・油分を落としやすい。(強い) Ph9~12

最近は食洗機対応の漆器も増えているのだそう。手入れに気を遣わなくてもいいのは気楽ですね。食洗機使用の場合も、洗剤は先述のものを使用してください。

堀江さんいわく、一番大切なのが保管方法とのこと。

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

堀江さん:

洗ったあとは柔らかい布でしっかり拭いて、水気をとりましょう。自然乾燥でも問題ありませんが、乾かないうちにしまうと、カビが生えることがあります。よく拭いたあとは、日光に当てず上向きに置いておけば自然に水分は蒸発します。」

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

また、長期間使用しないことにより、乾燥が進行してしまう可能性もあるといいます。1年間しまいっぱなしで、翌年開けたらヒビが入っていた…ということも。

堀江さん:

「できるだけ高い頻度で使うことがおすすめですが、出番が少ない場合は、たまに洗ってあげるだけでもお手入れになります。長期間保管する場合は、なるべく空調の当たらない場所に置いてくださいね。」

日光に当てないこと、乾燥させないことを意識して保管すれば、末永くお使いいただける漆器。冷蔵庫保存も可能ですが、乾燥しないよう保管は短時間にとどめてくださいね。

その他、シーン別にお手入れに必要な点をお伺いしました。

scene1. 届いたら最初にすること

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

お気に入りの漆器を手に入れて、さっそく使おうと思ったら、なんだか不思議なにおいが。
はじめての方にとって漆の独特なかおりは少し驚くかもしれませんが、心配はいりません。このかおりは漆を塗ってから日が浅い証拠。使い込むうちに自然と薄れてくるんだとか。

堀江さん:

「漆特有のにおいは、特に何もしなくても数回使用すれば消えていきます。気になる場合は2、3日風当たりの良いところに置いておくのが良いでしょう。使いはじめは、料理をよそう前にぬるま湯で洗ってくださいね。」

scene2. お料理のときに気をつけること

漆器のお手入れは難しくない!美しさを保つためのお手入れガイド

堀江さん:

「最初から熱いものを入れず、徐々に慣らしていくことが重要です。しばらく使ったら熱湯を注いでも、油ものを入れても大丈夫になります。電子レンジの使用は傷みの原因になるので避けてください。」

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色選びのコツは?

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m.m.d.でも漆器の取り扱いがあります。漆器は赤と黒の2色展開が一般的ですが、お客様にどちらを選ぶかご相談いただくこともしばしば。どうやって選べばいいのでしょうか?

堀江さん:

「これはお好みです。古来から、『赤』は高貴な色として男性や目上の人が使用するならわしがありましたが、現代で気にする人はいません。現代ではカラフルな漆器も増えていて、自分が使っていて、よりフィットする色が一番です。たくさん使って、自分らしい漆器に育ててみてくださいね。」

堀江さん、ありがとうございました。

私たちは堀江さんと一緒に、普段から気軽に使える漆器を製作しています。食洗機対応で扱いやすく、はじめての漆器にぴったり。赤色・黒色をお選びいただけます。ぜひチェックしていただけたら嬉しいです。



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